パソラボ イヌ ネコ 小動物 病理検査
パソラボ イヌ ネコ 小動物 病理検査
ホーム
サイトマップ
PATHOLABO
サービス紹介診断医プロフィール会社案内館内案内求人案内資料請求/容器注文登録情報設定
パソラボ情報
パソラボ イヌ ネコ 小動物 病理検査
トピックス一覧に戻る

第89回 イヌの乳腺腫瘍における、リンパ系への浸潤を予測する組織学的要素に関する回顧的研究



イヌの乳腺腫瘍における、リンパ系への浸潤を予測する組織学的要素に関する回顧的研究
A Retrospective Study of Those Histopathologic Parameters Predictive of Invasion of the Lymphatic System by Canine Mammary Carcinomas
Vet pathol. 2012

症例;イヌの乳腺腺癌245例 5-19歳(平均7.09歳)
形態学的悪性度を、管腔形成、核の多形性、核分裂像の数により評価した。
リンパ管内浸潤像の有無、および領域リンパ節を切除されている症例では転移の有無について評価した。
また、上記の悪性度の評価に含まれない形態学的特徴
・腫瘍細胞の周囲組織への浸潤性
・小乳頭状増殖
・腫瘍組織周囲の脈管新生
についても評価した。

結果;245例中、190例(77.5%)でリンパ管内浸潤像が確認された。
所属リンパ節が検査された127例中、76例(59.8%)で転移病巣が認められた。
(リンパ節転移の認められた76例中4例では、リンパ管内浸潤像が確認されなかった)
形態学的悪性度の高いものほどリンパ管内浸潤像や、リンパ節転移病巣が多く認められた。
浸潤性を示す腫瘍、小乳頭状増殖を示す腫瘍、脈管新生を伴う腫瘍では、これらの像が見られない腫瘍と比較して、いずれもリンパ管内浸潤像、リンパ節転移が多く認められた(脈管新生に関しては有意差が認められなかった)。
組織学的サブタイプとしては、invasive micropapillary carcioma , adenosquamous carcinoma , lipid rich carcinoma でリンパ管内浸潤像やリンパ節転移が多く認められた。

乳腺腫瘍の悪性度と相関して、腫瘍細胞のリンパ管やリンパ節への浸潤が起こりやすくなることが示された。しかし形態学的悪性度だけではなく、周囲組織への浸潤性や、小乳頭状増殖パターンが見られた場合には、腫瘍細胞がリンパ管やリンパ節へ浸潤するリスクが高くなることが示された。浸潤性を評価するため、乳腺腫瘍を診断する場合には周囲組織も同時に検査することが推奨される。また悪性度や組織学的なサブタイプとは別に、腫瘍細胞の小乳頭状増殖パターンが認められる場合にも、攻撃的な挙動をとる傾向が明らかとなった。ヒトの乳腺や胃、肺、胆嚢の腺癌でもこのような配列を形成する腫瘍細胞はリンパ管内浸潤を起こしやすい傾向にあるということが報告されている。

パソラボ



記事をPDFでダウンロード
Copyright(c)2006-2010 Patho Labo Co.,Ltd All Rights Reserved.