パソラボ イヌ ネコ 小動物 病理検査
パソラボ イヌ ネコ 小動物 病理検査
ホーム
サイトマップ
PATHOLABO
サービス紹介診断医プロフィール会社案内館内案内求人案内資料請求/容器注文登録情報設定
パソラボ情報
パソラボ イヌ ネコ 小動物 病理検査
トピックス一覧に戻る

第82回 鼻腔の血管線維腫の13例



以下、希とされている疾患ですが、実際には診断に至らない症例を含めれば、少なからずの症例がこの類の疾患に含まれる可能性があると感じますので、ご紹介致します。

鼻腔の血管線維腫の13例
Veterinary and Comparative Oncology 2011


要約
鼻咽頭の血管線維腫は希なヒトの良性疾患であり、良性腫瘍ですが、局所浸潤性を示す腫瘍です。イヌでは1968年に前頭洞の同疾患が1例報告されています。ウイスコンシン大学で1988年から2000年の間に診断された13例のイヌは、全ての症例が臨床所見やレントゲン所見から局所浸潤性腫瘍であることが強く示唆された。しかしながら鼻腔から採取されたコア生検組織では、二次的な炎症を伴う良性の血管増生病変の様相を呈していた。

臨床症状
症例は7-15才で、平均は11才であった。全てのイヌは片側の鼻腔から粘液化膿性の排出、断続的な鼻出血を伴っていた。その期間は2ヶ月から2年であり、平均は7ヶ月であった。
領域リンパ節の細胞診や胸部レントゲンにおいて、転移の所見は認められなかった。

レントゲン、CT
いずれのイヌにおいてもレントゲンにて破壊性の腫瘤病変が確認されるか、CTにて局所侵襲性の鼻腔腫瘤が確認された。9例が頭部レントゲンを実施され、鼻甲介骨の崩壊を伴う軟部組織デンシティが確認された。6例がCTを実施され、同様に鼻甲介骨の崩壊を伴う軟部組織塊が確認された。これらのイヌの5例は前頭洞や眼球後部へ浸潤する腫瘤が確認された。これらのイヌの3例で頭蓋内への拡大がCTで認められた。

内視鏡
10例に内視鏡を実施し、新鮮な、境界のはっきりした、血管に富む軟部組織腫瘤が確認された。

細胞診
バイオプシー組織を用いて5例が細胞診で評価されたが、全例で悪性を支持する所見を示した。そして細胞学的に癌や円形細胞腫瘍が除外できなかった。

組織検査
全例でコア生検が実施された。細胞診では悪性と考えられた5例も含めて、組織検査ではいずれの症例も良性と診断された。

経過
・前頭洞に広がった腫瘍を有する1症例は、術後の失血のため死亡した。
・3例は臨床的な再発の徴候なしに腫瘍と関係のない理由にて術後4年以内に死亡した。
・CTにて前頭洞と眼球後部での広がりが確認された1例は2年後に鼻腔の閉塞、粘液化膿性の鼻汁、顔面の腫れ、等を起こし、疾患の進行のため3ヶ月後に安楽死された。
・1例は術後9ヶ月で生存している。
・7例は手術を受けなかった。7例中5例は死亡したか安楽死された。1例は診断時に安楽死され、1例はバイオプシーの7ヶ月後に原因不明で死亡した。1例は診断から1年後に神経疾患のため安楽死された。1例は頭蓋への拡大が存在するにもかかわらず初診から2年生存していたが、運動失調と他の神経学的問題により安楽死された。2例は診断後のフォローがされていない。1例は放射線治療(トータル42グレイ)を受けたが、その後に起こった誤嚥性肺炎により治療終了から7日後に安楽死された。治療を受けていた間、臨床症状は改善していたが、放射線治療の個謳歌の判定は困難である。

ヒトの文献では希に自然退縮が起こるが、今回自然退縮を起こした症例があるか否かは把握出来ていない。

パソラボより
血管線維腫という名称からは良性腫瘍として分類されている訳ですが、個人的には真の腫瘍であるのか過形成の範疇の疾患であるのか判断しがたい印象を受けます。事実、ヒトでは自然退縮する事もあるとされており、組織を観察しても紛れもなく腫瘍であるというには少し違和感を感じます。
イヌの場合、骨の厚さがあるため、今までは骨を侵す侵襲性の増殖は悪性腫瘍の存在を強く示唆していたわけですが、これからはそうとは限らないということが明らかになりました。局所侵襲性を伴う疾患ですが、根治の可能性もあるかもしれません。十分量の組織を採取しての組織検査をお勧めします。

パソラボ


記事をPDFでダウンロード
Copyright(c)2006-2010 Patho Labo Co.,Ltd All Rights Reserved.