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第212回 核分裂像・核分裂指数のお話 その2



第212回 核分裂像・核分裂指数のお話 その2

【核分裂像の数と核分裂指数が必ずしも相関するとは限らない】
検査報告書の組織所見の欄に核分裂像が 「散見、中程度、多い」 などの記載をしています。これらは腫瘍全体を通しての大雑把な核分裂像の頻度という事になります。これに対して核分裂指数は一般的に標本中で最も核分裂像が多い部位を選んでカウントします。従いまして標本全体としては核分裂像は少ないが、一部でのみ核分裂像が多いといった場合では、核分裂像は少ないにもかかわらず、核分裂指数は高いという事が起こります。

【グレード分類と核分裂像】
上記のような症例をグレード分類した場合、意図せずともグレードが高くなってしまうことは起こり得ます。従いまして、核分裂指数やグレード分類などわかりやすい部分だけにとらわれることなく、病理医がどのように総合評価しているかをコメントから読み取る要があります。
病理医としましては、グレード分類上は低くなってしまうが悪い挙動を取る可能性が高いと推察される、もしくはその逆といったことを感じることがあります。その場合、弊社ではコメントにてフォローしていますので、見逃さないようにしていただければと思います。組織所見の一部のみを切り抜いて判断してしまうことは危険です。

【核分裂像の意義】
総論的には良性腫瘍は核分裂像が少ない、悪性腫瘍は核分裂像が多い、悪性度が高いほど核分裂像が多いとなります。しかしながらこれはあくまでも総論的な解釈であり、実際の悪性度は腫瘍の種類、分化の程度、浸潤性や異型性など様々な所見の総合判断により決まるものであり、多く場合は核分裂像の数は一要因に過ぎません。

【核分裂像の数は意義のあるものとないものがある】
また核分裂像の数が多くてもあまり予後に相関しないであろう腫瘍や、逆に大きく影響する腫瘍というものもあります。例えばセミノーマのような腫瘍であれば、核分裂像が多くてもあまり予後とは相関しないと思います。反対に肥満細胞腫であればどうでしょうか?ごく一部の例外を除いてはダイレクトに予後に強く相関すると思われます。このように腫瘍の種類によって核分裂像の重要度は変わります。また予後に相関する腫瘍であった場合、核分裂像がいくつであれば多い少ないというのは腫瘍の種類により変わります。

【核分裂像が多い腫瘍は増大が速いのか】
一般的には核分裂像が多ければ増大速度も速いと考えられます。ただし常にそうであるとも限りません。長い間、増大を示していなかった腫瘍を切除してみると極端に核分裂像が多いという事もあります。例えば皮脂腺腫瘍などで経験します。核分裂像が多いのに明らかな増大を示していないという事は、分裂して生まれた細胞と死滅していく細胞の数が等しいのかもしれません。また核分裂期間の長さに長短があるとすれば核分裂指像の数にも反映されることになります。

【GISTの核分裂指数】
GISTでは転移を起こす症例も少なくありませんが、多くの症例で核分裂像は少ないものです。そのため一般的な腫瘍では核分裂指数は強拡大の10視野合計でカウントしますが、GISTの場合は50視野の合計でカウントします。

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