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第203回 膀胱ポリープ その1



第203回 膀胱ポリープ その1

イヌの膀胱腫瘤にはいくつかの疾患が存在しますが、それには悪性腫瘍もあれば良性腫瘍もあり、また非腫瘍性疾患も存在します。確定には病理診断などが望まれますが、臨床の現場でも肉眼所見などの特徴を知り疾患の推測がついていれば、より有効な検査方法の選定ができ、また検査結果との辻褄が合わない場合の臨機応変な対応も可能になります。そこで今回は発生頻度の高い膀胱ポリープに関して記載しようと思います。

【膀胱ポリープとは】
膀胱ポリープとは膀胱炎や膀胱粘膜の刺激などによって、粘膜がポリープ状の過形成を起こした状態です。孤立性病変の事もありますが、通常は多発性病変を形成します。昔は膀胱ポリープと移行上皮乳頭腫の分類が混乱しており、文献においてもこれらが誤診されているケースが多いと考えられますので、古い獣医学書の情報を参考にするのは、そのあたりの注意が必要になります。古く移行上皮乳頭腫と診断されている症例の多くは、膀胱ポリープの可能性があります

【膀胱ポリープに似た病変】
膀胱ポリープはその名の通りポリープ状を呈することが多いですが、逆にポリープ状を呈していれば膀胱ポリープであるのかといえば、それはイコールではありません。ポリープ状ないしは突出性の強い形状を呈するその他の膀胱腫瘤として、特に好酸球性膀胱炎、移行上皮乳頭腫、一部の移行上皮癌などが挙げられます。移行上皮乳頭腫は形状としては鑑別に挙がりやすいですがその発生は稀であり、病理の仕事をしていてもほとんど経験することはありません。

【膀胱ポリープの形状】
ポリープというと腫瘤尖端側が太く根元が細い形状をイメージするかもしれません。実際その通りではあるのですが、尖端側と根元側の太さの違いはそれほど大きくない事がほとんどです。そして腫瘤全体が細い形状であることが多く、例えば長さ2cm、太さ5mmといった具合で尖端側がやや膨らんでいます。もちろん様々ですが、太さ1cm以上といったようなものはレアケースだと思います。また腫瘤尖端側に出血を伴っていることも多く見られる特徴です。

【その他の臨床状況】
膀胱ポリープは膀胱尖側に好発します。そして多くの症例で膀胱結石を伴っています。逆にその他の膀胱腫瘤疾患において膀胱結石が併発しているといった報告書の記載はあまり見たことがありません。

【その他の特徴】
組織学的には膀胱ポリープは疎性結合組織から構成されており、その表面はやや過形成性の粘膜上皮に覆われています。そのため手術で腫瘤を直接観察した場合には、移行上皮癌のような充実性組織の印象ではなく、滑らかな粘膜に覆われた軟らかい腫瘤として観察されます。

次回に続く

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