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第197回 線維付属器異型性症の中に二次的に発生する腫瘍



第197回 線維付属器異型性症の中に二次的に発生する腫瘍

線維付属器異型性症は、増生線維組織と皮膚付属器(毛包、皮脂腺、汗腺)の過形成からなる腫瘤病変の総称です。胼胝の一部もこの範疇の疾患と考えて差し支えありません。線維付属器異型性症は良性病変であるため、基本的には経過観察で問題ありませんが、その一構成成分が腫瘍化することがあることは覚えておくべきかもしれません。私の経験上そのような症例が時々あることは間違いありませんが、獣医学書での記載は見たとことがありませんので、ここでお伝えしようと思います。

【どのような腫瘍が発生するのか】
線維付属器異型性症は上記のような構成成分であるため、毛包、皮脂腺、汗腺、線維組織芽細胞、線維組織中に存在する肥満細胞や血管などに由来する腫瘍が発生する可能性があるかと思います。ただし、通常経験しやすい腫瘍は扁平上皮癌、肥満細胞腫、毛包上皮腫あたりが発生しやすいと感じます。

【どれくらいの発生頻度か】
調べたことはありませんので、正直なところ発生頻度までは把握しておりません。稀ではありますが、そのような症例を経験したとしても特に驚くことも、弊社獣医師同士で話題になることもなく、極めて希というものでもありません。

【コア生検での診断リスク】
二次的な腫瘍の領域が腫瘤のボリュームをどれくらい占めているのか、それによってはコア生検でも腫瘍部分が採取されないリスクがあります。そのため、腫瘤の大きさによってはリスクを軽減できるだけの採材数の確保、腫瘤内における採材部位の分散をすることが必要になります。

【臨床状況に変化が現れたら?】
急速な増大、自潰、紅斑、今までの状況とは変化した歪な形状、腫瘤内の結節の触知など、どのような変化であっても生じた場合には、頭の片隅に上記のようなことを思い出していただければと思います。実際のところ線維付属器異型性症における急速増大や自潰は、二次的な腫瘍よりも二次的な炎症の方が頻度的には高いものです。肉眼的には把握できなくても毛穴から連続して毛包が過形成を起こしており、そのような経路で感染が生じ、腫瘤内から炎症は生じることはしばしば経験します。

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