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第172回 日本におけるイヌの組織球肉腫の臨床的特徴及び予後因子について



日本におけるイヌの組織球肉腫の臨床的特徴及び予後因子について
The Journal of Veterinary Medical Science 2014


検査期間;2007年4月−2012年7月
東京大学の情報です。

■結果
【症例】
・症例数;73例(未去勢雄22例、去勢雄14例、未避妊雌13例、避妊雌24例)
・平均年齢;9.6才(1.9−15.2才)
・平均体重;23.5kg(2.6−55kg)
・品種;フラットコーテッドレトリーバー16例、ウェルシュコーギーペンブローク15例、バーニーズマウンテンドッグ14例、
ゴールデンレトリーバー8例、ラブラドールレトリーバー6例、シーズー3例、シェットランドシープドッグ2例、ビーグル1例、
ポインター1例、フレンチブルドッグ1例、ロットワイラー1例、マルチーズ1例、ヨークシャーテリア1例、ミニチュアダックスフント1例、
トイプードル1例、雑種1例
・診断方法;組織診断44例、細胞診診断29例

【臨床的特徴】
・症状
食欲不振(25例)、跛行(21例)、元気消失(17例)、咳(11例)、触知出来る腫瘤の存在(8例)、下痢(6例)、呼吸困難(4例)、嘔吐(4例)

・血液検査結果
貧血(18例)、血小板減少(18例)、低アルブミン血症(18例)、高窒素血症(18例)、高クレアチン血症(5例)、高ビリルビン血症(18例)、
肝酵素上昇(30例)、C反応蛋白増加(54例)、FDP増加(7例)

・腫瘍の分布
脾臓(19例)、肺(16例)、リンパ節(14例)、骨・関節(14例)、皮膚・軟部組織(13例)、肝臓(5例)、中枢神経系(4例)、腎臓(4例)、
縦隔(3例)、消化管(3例)、口腔(1例)


・血液学的臨床病理学的に診断が困難な症例(hemophagocytic subtype)
11例…免疫染色(MHC-?U、CD11d/CD18等)により診断

【治療(69例)】
・無治療もしくは対症療法;22例
・安楽死;1例
・外科的切除;16例(10例は化学療法併用)
・化学療法のみ;30例

【治療結果(61例)】
・全症例の生存期間中央値;43日(2-468日)
・外科的切除のみ;91日
・化学療法併用;76日
・化学療法のみ;62.5日


■考察
・イヌの組織球肉腫に関して他に報告されているものと比べて、日本ではウェルシュコーギーペンブロークでの発生が多い傾向にある。
・フラットコーテッドレトリーバー、バーニーズマウンテンドッグも好発犬種であると言え、それぞれの好発部位は以下の通りとなった。
フラットコーテッドレトリーバー;皮膚・軟部組織(7例)、リンパ節(6例)、肺(5例)
ウェルシュコーギーペンブローク;肺(8例)、脾臓(2例)
バーニーズマウンテンドッグ;脾臓(6例)、骨・関節(4例)
・貧血、血小板減少症、低アルブミン血症、低蛋白血症および無治療の個体では生存期間が短い傾向にあり、
これらが予後因子であると考えられる。
  予後因子     生存中央値期間の比較(症状有/症状無)
貧血        …   24日/61日
血小板減少症    …   10日/66日
低アルブミン血症  …   18日/64日
低蛋白血症     …   18日/64日
無治療       …治療有12日/無 85日

・またhemophagocytic subtypeの11例は治療の有無に関わらず生存期間が短かく、中央値は18日(1-64日)であった。

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