第167回 上皮性悪性腫瘍の転移病巣の鑑別診断について(移行上皮癌について)
上皮性悪性腫瘍の転移病巣の鑑別診断について(移行上皮癌について)
第150回パソラボ情報において取り上げました、「犬の移行上皮癌における皮膚転移について」の報告に基づき、弊社では抗ウロプラキン抗体を検討しました。
ヒトでは抗ウロプラキン抗体は尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)上皮癌のマーカーとして使用されています。免疫染色用の抗体には抗ウロプラキン抗体IIおよびIIIがあり、前述の報告では抗ウロプラキン抗体IIIを使用しています。弊社ではIIおよびIIIの染色性について検証を行い、より有効性が高いと考えられた II を使用しました。
直近数年間の中で上皮性悪性腫瘍の転移病巣と診断され、尿路由来の可能性もコメントされている6例に関し検討しました。結果の詳細は以下の通りです。6例中4例でウロプラキンに陽性を示しました。日頃の検査において、由来不明の「上皮性腫瘍の転移病巣」の症例は時に経験いたします。その中でも特に移行上皮癌の転移病巣が懸念される症例について鑑別診断の一助となることと考えます。
また、抗体の信頼度を評価するために、転移病巣を経験する機会の多い腫瘍、転移性の高い腫瘍をいくつか抽出し特異性を評価しました。その結果、検索範囲においては特異性は高いと判断されました。
[抗ウロプラキンII抗体の免疫染色結果]
■「上皮性悪性腫瘍の転移病巣」 と診断された症例
発生部位 染色結果
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左上腕骨近位 陰性
尿管周囲 陽性
上腕骨 陽性
右内股皮膚等(多発) 陰性
骨盤 陽性
上腕部 陽性
特異性の検討
■尿路上皮由来の腫瘍
移行上皮癌(低悪性度) 陽性
移行上皮癌/腺癌 陽性(移行上皮、腺癌ともに)
■尿路以外の上皮由来の腫瘍
肛門嚢アポクリン腺癌 陰性
乳腺腺癌 陰性
前立腺癌 陰性
腎細胞癌 陰性
肺癌 陰性
パソラボ
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