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第205回 好酸球性膀胱炎



第205回 好酸球性膀胱炎

前回、前々回と、膀胱炎のポリープ状病変として発生頻度の高い膀胱ポリープについて書きました。他のポリープ状病変にはどういったものがあるのか知識がなければ、それぞれの疾患を自信をもって鑑別することも難しいと思いますので、今回は好酸球性膀胱炎について記載します。なお、基本的には膀胱ポリープも好酸球性膀胱炎もイヌの疾患になります。

【好酸球性膀胱炎】
好酸球性膀胱炎は原因は明らかではありませんが、ヒトではアレルギーなどの関与が考えられています。ヒトでは発生が稀で腫瘤形成の記載も見つかりませんが、イヌでは腫瘤を形成することが一般的です。

【好酸球性膀胱炎の発生頻度】
動物病院の現場では膀胱ポリープもあまり経験する機会がないかも知れませんが、病理の立場としましては膀胱ポリープは割と日常的に診断する疾患であり、好酸球性膀胱炎は時々経験するといった程度に経験します。膀胱ポリープ:好酸球性膀胱炎=4:1位の割合で経験します。いずれの疾患も移行上皮癌よりは少ないものです。

【好酸球性膀胱炎の形状】
好酸球性膀胱炎もしばしばポリープ状病変を形成します。ただし、膀胱ポリープのような細くひょろひょろとした出来物ではなく、太さがあり、また腫瘤内部がしっかりとした結合組織であるため硬めの腫瘤を形成します。大きなものでは何?pもの塊状の腫瘤を形成するものもあります。有茎状のものと無茎ポリープ状のものがあり、前者であっても腫瘤基部はしっかりとした太さがあることが一般的です。膀胱内腔への突出の程度によってはポリープ状とまでは言えないものもありますが、それは膀胱ポリープも同様です。

【超音波所見】
膀胱ポリープが通常多発性である事とは異なり好酸球性膀胱炎は通常孤立性病変であり、太さのある膀胱内突出腫瘤や有茎性腫瘤を形成し、その表面はスムースな事が多いものです。移行上皮癌の肉眼形態は様々ですが、一般的には表面がスムースということはあまりなく、腫瘤基部は膀胱壁に広がりを見せていることが多いかと思います。

【バイオプシー】
腫瘤表面は膀胱炎による過形成性の移行上皮に覆われています。そのためカテーテル吸引などによりバイオプシーを行った場合、再生性の移行上皮が採取され、一般的には移行上皮癌ほどの明瞭な異型性は確認されません。ただし充分量の組織が採取されない場合が多く情報量が少なく、さらには粘膜より下の好酸球浸潤部が採取され難いため、組織のみで好酸球性膀胱炎の診断を下すことが困難になる傾向があります。そのため他の臨床情報を併せて判断する必要があり、病理検査依頼時に超音波所見などが添付されていますと、組織診断やコメントが一歩進んだものになる可能性があります。
また、バイオプシーした組織がそもそも腫瘤から採取されていない可能性もある場合には、その旨依頼書に記載していただくことはとても重要になります。採取部位の前提が崩れれば、診断そものもが全く的外れなものになってしまうかもしれません。

【総合判断】
バイオプシーのみでは非特異的な所見になる可能性がありますが、腫瘤の大きさや形状、超音波画像、腫瘤の数や厳密な発生部位、結石の有無、尿の細胞診などを総合的に判断しますと、好酸球性膀胱炎の可能性がある程度推測されるということになります。

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