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第204回 膀胱ポリープ その2



第204回 膀胱ポリープ その2

【尿の細胞診】
尿の遠心細胞診を観察した場合、どのような所見が期待されるでしょうか?ポリープの表面上皮であるのか、非腫瘤部の粘膜が採取されたのかは区別が出来ません。とはいえ、膀胱壁は通常膀胱炎の状態であり、またポリープもその延長で形成されたものであることから、どちらの上皮であるにしても過形成の状態であり、正常の粘膜上皮に比べると再生性の異型性を伴っている可能性があります。そのため多少の異型上皮の出現は想定内になります。また典型的な移行上皮癌のような目立った異型性は認められないという所見もワンポイントになります。

【バイオプシー】
手術材料以外においてバイオプシーを行う場合には、超音波下でのカテーテル吸引組織や膀胱洗浄液を用いたセルパックを用いることが多いと思います。カテーテル吸引組織でポリープの粘膜層のみではなく結合組織も含めた組織塊が採取されれば、診断精度は上がりますが、そこまでの組織片が採取されることはあまりありません。そうなりますと必然的に腫瘤表面の粘膜上皮が細胞塊として採取されるか、もしくはばらばらの粘膜上皮が採取され、それによって検査が行われることになります。

【バイオプシーの診断精度】
移行上皮ポリープの表面を覆う粘膜上皮は、膀胱炎による再生性の上皮であるため、再生性の異型性を伴っている可能性があります。これは通常、移行上皮癌で観られるほどの異型性ではないものの、分化の高い移行上皮癌というものも存在するため、診断リスクはあります。粘膜下の結合組織までが採取された組織塊であれば、組織構築を加味して評価ができるため診断精度が上がります。
セルパックの組織の診断精度は、そこに含まれている細胞塊の大きさにも左右されますが、充分な組織構築が把握し難い事が多いため、診断リスクは高くなります。典型的な膀胱癌であれば診断できることも多いですが、ポリープの診断になりますととても厳しいものです。

【浸潤性が観られない事の確認】
腸管腫瘍と同様に、膀胱においても粘膜の悪性腫瘍の多くが筋層に浸潤し、その場合膀胱拡張時に引きつれを形成します。これは超音波下で生食を注入して膀胱を拡張させたり、レントゲンの二重造影で確認が可能です。膀胱ポリープは非腫瘍性病変であるため粘膜と筋層の固着が見られない事を一つの根拠としますが、実際は膀胱ポリープを構成する線維組織は粘膜下にも連続性に増生線維組織を形成し、筋層に癒着していることが多々あります。それでは区別できないのではないかと思われるかもしれませんが、悪性腫瘍が筋層に浸潤した場合に比べると膀胱ポリープの際の固着の程度は比較的軽いものです。浸潤性悪性腫瘍であれば、膀胱を膨らませれば膨らませるほど膀胱壁の引きつれは目立ちますが、逆に膀胱ポリープの場合は膨らませるほど、引きつれが目立たなくなっていきます。

【総合判断】
細胞診やバイオプシーで確定したいお気持ちがあると思いますが、これらのみでの診断はしばしば困難です。しかしながら腫瘤の発生状況や形状などを参考に、細胞診や組織診断を合わせて判断しますと、かなりの診断精度が出せると思われます。

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